おすすめ基本書一覧(総論編)
僕がこのブログで紹介したいと考えている基本書を一覧にしました。これらすべてを紹介しきれるかはまだわかりませんが(笑),とりあえずこれに沿って紹介していきたいと考えています。総論編です。
(総論編)
- 西田典之『刑法総論 第2版』(有斐閣,2010)
西田先生による教科書です。講義の書きおこしをもとにしたということで講義調です。各論ほどに評判がいいわけではありませんが,書きおこしだけあってすらすら読み進めることができます。
- 山口厚『刑法総論 第3版』(有斐閣,2016)
待望の第3版です。9年ぶりですね。はしがきをみるに,他説批判がすこし弱まったようです。山口総論は,版を重ねるごとに丸くなっていきますね(笑)。端的な記述がなされ,本自体は薄いですが内容は充実しています。判例の分析も丁寧です。おすすめ。
- 井田良『講義刑法学・総論』(有斐閣,2008)
行為無価値論でもっとも有力な論者である井田先生の手になる基本書。大変わかりやすく書かれておりおすすめです。また,リファレンスが充実していたり,フォントが工夫されているなど読者のこともよく考えられています。なお,版は改まっていませんが補訂がなされているので,最新の刷を買うのが良いと思います。
- 井田良『入門刑法学・総論 (法学教室ライブラリィ)』(有斐閣,2013)
こちらも井田先生によるものです。法学教室の連載が単行本化されたもので,独習しやすいように工夫されたつくりになっています。
- 今井猛嘉ほか『刑法総論 第2版 (LEGAL QUEST)』(有斐閣,2012)
若手研究者による共著。今後,島田先生執筆部分はどうされるのでしょうか。僕はまだ読んでいませんが,ぜひとも読みたい一冊です。
- 大塚裕史ほか『基本刑法I─総論』(日本評論社,2012)
大塚先生らによる基本書です。「判例実務」の視点から書かれたテキストです(はしがき)。帯には大きく「判例説」と書かれています(笑)。受験生フレンドリーなため,学者の書いた予備校本といわれることもしばしば。
- 小林憲太郎『刑法総論 (ライブラリ現代の法律学)』(新世社,2014)
200頁に満たない薄さで総論を解説するという異色の教科書。はしがきによれば本書は初学者向けで司法試験合格レベルまで持っていけるとのことですが,初学者で本書を理解できるような人なら(頭の良さ的に)受かっても不思議ではないような気がします(笑)。文章が凝縮されているので難解です。僕は何度も反芻しながら読みました。議論の整理はとても明快ですが,分量的にやや物足りないかもしれません。
- 佐伯仁志『刑法総論の考え方・楽しみ方』(有斐閣,2013)
佐伯先生による総論の論点解説。もとは法学教室の連載です。基本的な議論から立ち入った議論までなされており,気になる論点だけ調べるのも良いと思います。佐伯先生ご自身の見解についても述べられており,とても参考になります。おすすめ。
こちらも法学教室の連載が単行本化したもの。塩見先生は京都大学教授です。京大系の刑法の先生はあまり単著を出されていないため貴重かなと思います。まだすこし読んだだけなので,ちゃんと読めたらレビューしたいと思います。
以上です。また随時更新していきたいと思います。